takminの書きっぱなし備忘録 @はてなブログ

主にコンピュータビジョンなど技術について、たまに自分自身のことや思いついたことなど

ICCV2009 4日目〜Workshop

やっつけレポート、これが最後です。
はたして、これを参考にしている人がいるのかわからないが、一応自分に課した宿題なので。

3日目

以下、全部オーラル。(ポスターにも面白いのはあったんだけど、省略)

Super-resolution from a Single Image

Daniel Glasner, Shai Bagon, Michal Irani
1枚(以上)の画像から、超高解像度画像(元画像の解像度を超えたボケのない拡大画像)を作る方法。
一般的な画像には、画像内で同じようなパターン(例:木の画像だったら枝のパターンや、ビルだったら窓のパターン)が現れることが多いので、そういう情報を使って、あるいは縮小画像内に同じようなパターンを探して、それらのパターンをコピーしていくことで、超高解像度の画像を作成する。

Compact Signatures for High-speed Interest Point Description and Matching

Michael Calonder, Vincent Lepetit, Pascal Fua, Kurt Konolige, James Bowman, Patrick Mihelich
SIFTやSURFのような新しい特徴点記述子の提案。この人が以前開発したFernという記述子(OpenCV2.0実装済み)を改良したもの。ちなみにこの発表もOpenCVに実装していく予定らしい。
FernはSURFよりもずっと高速だけど、作成に学習(unsupervised)を必要としていて(ただし1度のみ)、これに結構時間がかかった。そこで、その学習時間を短縮したのとメモリ使用量を削減したとのこと。

Attribute and Simile Classifiers for Face Verification

Neeraj Kumar, Alexander C. Berg, Peter N. Belhumeur, Shree K. Nayar
顔の認証(これは誰?というのを判定)に顔の属性情報(男、女、髪の色、人種、etc)を使う方法の提案。
顔の属性情報と、認証用顔パーツの学習(Simile Classifier)をインターネットから収集した大量のデータを元に行って、高い認証精度を実現した。

A Shape-based Object Class Model for Knowledge Transfer

Michael Stark, Michael Goesele, Bernt Schiele
あるカテゴリについて学習を通してモデル化したものを、その知識も利用することで他のモデルを生成する方法の話(例えば馬のモデルからキリンのモデルを作る)。そうなるとモデル間の違いだけ考慮すれば良いので、学習データも少なくて済むし便利。
特徴量として形状情報を使って、確率的なモデルとして表してやり、そのモデルから新しいモデルを生成する場合は、追加の学習データを使って、それらの確率分布を遷移させる。
こういうのって脳の連想記憶とも似ているし、面白い。

WorkShop (10/03)

場所を京都大学に移して、いろんなWorkshopが開かれた。僕はThe PASCAL Visual Object Classes Challengeというものに参加。これは、共通の学習データ、共通のテストデータの下で画像のカテゴリ分け、画像中の物体検出、画像のセグメンテーションについて、アルゴリズムの性能を競いあうコンテスト。
ただ、今回から学習データを自由に選べる場合の部門も追加になった。
参加者は全部で12グループの18の手法。
プログラムの流れは、カテゴリ分け、検出、セグメンテーションそれぞれについて、まず評価方法の説明があって、結果の発表、優秀グループの発表、そのグループからのアルゴリズムのプレゼンテーションという形。
ここら辺の話はいずれ、ホームページ上に開示されるとのこと。
各優勝者はこんな感じ。
Detection:

  • シカゴ大
  • オックスフォード大

Classification:

Segmentation:

  • ボン大学

最後にディスカッションがあって、カテゴリ分けのコンテストはもうやめようかとか、新しく静止画からなんの動作をしているかを検出するコンテストを追加しようかとか、それなら動画でやろうかとか、そんなことが話し合われてました。

ところで、ワークショップ中に突然苦しみ出して倒れた人が出て、救急車を呼ぶ騒ぎになりました。無事だといいんですが。

所感

最後に感想。
とても充実した1週間でした。やっぱり世界トップクラスの学会だけあって、大変刺激になりました。色々と自分の研究のヒントを得られたし、自分の力不足も痛感しました。
それにしても、日本での開催なのに日本の企業や大学からのオーラル発表が一つもなかったのが、なんとも寂しい限り。
自分の研究分野の物体認識系について言えば、去年のECCVから予兆はありましたが、ほとんどの人の興味が画像のカテゴリ認識から、物体の位置検出に映ったなという印象。特に検出したオブジェクトからその属性情報(顔なら性別や人種、撮影対象の3次元的な向きなど)を得ようという研究が盛り上がり始めていると感じました。

それと、この学会期間中に久しぶりに会った人や、新しく出会った人達からも、たくさんの刺激を受けました。
次回もぜひ参加したいです。(参加費高いけどね・・・)