takminの書きっぱなし備忘録 @はてなブログ

主にコンピュータビジョンなど技術について、たまに自分自身のことや思いついたことなど

20%ルールの合理性

Twitter使い出してから、あまりこちらのブログにつぶやき系を書かなくなったんだけど、以前つぶやいた内容を再掲しておく。

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実は新しい物を作っていく上でGoogleの20%ルールのうちの残りの80%の通常業務がかなり大事なのではないかという気がしている。その80%で研究開発技術者が直接ビジネスニーズを知ることが出来るから。

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実は、日本の大企業のR&Dって(もちろん企業にもよるけど)かなり自由にやれている印象がある。会社の承認は必要だけど、自分たちである程度自由にテーマを選定して、それに対して100%の時間を使って研究をしているんじゃないかと思う。
ただ、これらの大企業は多大な投資をして、良い技術開発をしている割に、いまいちビジネス化がヘタなんじゃないかと感じている。

で、先のつぶやき「実は80%が大事」という考えに至ったわけです。
これは、研究開発から製品化までのスパンの短い情報系では特に言えることなんじゃないだろうか。特に情報系のコンシューマビジネスでは、開発エンジニアが直でユーザの反応に接する機会も多いだろうから、なおさら敏感にニーズを感じることができる。

また、R&Dから生まれた研究を製品化するという点においても、20%ルールには合理性がある。
情報系の学問では、論文や学会などで良い結果が出てたとしても、じゃあどこかのプログラマーがその論文通りに実装して同じ結果がでるかというと、実はとても難しい。というのは、その論文で実装しているプログラムの中には、論文に書かれていない色々なパラメータや工夫が隠されていることがほとんどだから。
そうなると、一番良いのはそれを研究した本人が製品化の実装まで担当することだと思う。つまり、研究者として優れているだけでなく、プログラマーとしても優れていることが、ITの世界で革新的なサービスや製品を創り上げて行く上で大事になってくる。でも、通常の企業だと研究をする人と開発する人というのは分かれている場合がほとんど。でも20%ルールの場合、その中で作ったものが有益で「業務」として認められれば、研究者は今度は実装者として80%の面倒がみれる。
そして、まさにこういう研究者兼実装者を抱えているのがGoogleじゃないだろうか。

さて、この20%ルールをワーカホリックな日本の労働環境でどうやって作り出すかというのは、考えてみると難しい。大抵の場合、20%の空きなんて作れないし、20%のクリエイティビティを発揮すべき優秀な人間には、仕事が集中する仕組みになっているから。
で、これに関しては僕にはアイデアはない。ただ企業は、もし100%のR&Dという組織を作る資金的余裕があるのなら、その分業務に人を増やすことで、各々の従業員が20%ルールを実現できるような環境を整えるのは面白いかもしれない。


以上、まったくの独断と偏見と思い込みの記事なので、異論は認める。